そして、本番の朝を迎えます。
私には何か新しい行動を起こす等、「不安」を「やる気」に変えたい時に必ず読む本があります。
「100%」
いわゆる、「座右の書」っていうやつです。
3,500kmのツール・ド・フランスをはるかに超える、欧州14カ国を自転車で横断する5,000kmの「ツール・ド・ヨーロッパ」というイベントに著者が参加する話があるのですが、その工程期間中に起きた様々な困難に対して、
「こげばいいでしょう!こげば!」
と選手全員で言い続けて、スタート後37日目にチューリッヒのゴール地点に到達するというエピソードが、とても大好きなのですが・・・
そう!ゴールに到達するには「自転車をこぐ」しかないのです。
・・・で、今回もココ、当然読み直しました。
ラリー中で、このことが無かったら、
今、きっと全く違った今回のラリーに対する感想をもっていただろうなっていうエピソードがあります。
SSのスタート時点での記憶が全く無いのに、
ステージ中の記憶がしっかりと焼き付いている、そんなステージです。
Leg-2 SS12 Matsushiro R1
2日目2本目のSSです。
1日目キャンセルとなったSS4
(Alternate Road Bookを使用して、次のTCへと移動)
そして、通過のみとなったSS7。
そのステージを、Leg-2では、逆走するステージです(SS12/16)。
親ビンのペースノートで「!!岩」があるステージで、SS4キャンセルの原因はまさしくその「!!岩」でした。何台もの競技車がその岩の餌食に・・・
しかも、逆走ステージは、ターマック→グラベルのステージなんです。
ペースノートの読み方を途中でまったく変えないといけないステージ。
TCでSSスタート時間をもらい、SSスタート地点で正式なスタート時間を告げられ、スタートまで約30秒。
窓を閉めて、シートベルトを締め付け、体をシートと一体化。ペースノートを手にして、シグナルに注目。
「10秒前!!」
「5・4・3・2・1・スタート!!」
この繰り返し。
ですが、このステージだけ覚えていないのです。
ところが「グラベル・イン!!」の読みが遅かった時から、記憶は鮮明なんです。
親ビンがミスを!
そして、動揺した私がペースノートをロスト!
何本コーナーをクリアしても、ペースノート ロストのまま立ち直れず。
当然、アクセルを踏めない親ビン。
1分後にスタートしたはずのチームジャパンのMINI #74に道を譲る親ビン。
#74は、全開でこのステージを責めている。
#76は、コ・ドラのペースノート ロストにより、このステージを責められずフィニッシュすることに。
ここで、ドライバーとコ・ドライバーの関係について身をもって知ることになった私。
ステージだけでなく、ラリー全体を、
①ドライバーはコ・ドライバーに委ね、
②コ・ドライバーはドライバーに委ねる。
お互いにイコールの関係であること。
どんなに優れたドライバーでも、コ・ドラ(例え、この経験未熟な私のようなコ・ドラでも)に委ねられているってこと。
このステージは、全くダメだったけど、このステージでの経験が私にとって大きな価値のあるステージだったような気がします。
このステージ後のリエゾン区間を走行中に、
私 :「ゴメン!!」
親ビン:「俺もミスをした。でもそのミスを引きずらない。だからコ・ドラのミスも引きずらないで!!」
・・・目頭が熱くなった親ビンの一言でした。
このSSでマフラーを落とし左フロントタイヤがバーストして残念ながらリタイヤとなった#74クルーに、SSフィニッシュ後のグラベル出口で「頑張って〜!!」と見送られ、「完走する!!」という気持ちが強くなりました。#74クルーは、次回につなげるためにこのSSを、とにかくリタイヤ覚悟で責め続けたということでした。
次々とリタイヤが続くこのクラス。とうとう我々#76クルーの前を走るのは、
#70のAE86。
・・・そして、再び
Matsushiro R2 のSSのスタートへ。
前回のミスを引きずらない。とにかく集中。たったの9.77kmのステージに再び。
リベンジのステージスタート!!
・・・また「グラベル・イン!!」の読みのタイミングが遅れる!
でも、集中力は全く前回とは違っているのが自分でもわかりました。
このラリー中のステージで一番集中したステージでした。
最終ステージがキャンセルとなった為、残すところステージはひとつ。
SS17へ向かいます。
45kmのリエゾン区間に、レッキからの色々なことが頭に浮かんできました。
白状すると、「完走してサービスに戻ったら、多分俺、きっとこーなっちゃう?」かも・・・そんなことを考えていました。
(2015 RIOMより)
菅平口を過ぎ
愛妻の丘を過ぎ
最終ステージOmae Suzaka Gravel 2へ。
スタート地点、土砂降りです。
「何としてでも完走してサービスパークに帰ろう!!」
そして、
最終ステージスタート。
「左4 30!!」
登りながらの「左4 30」
やはり・・・
やっと動き出したが、
スタートして10m・・・スタック!!
動かず。
行きのトラックでの親ビンとの会話。「コ・ドラがラリー車を押す。」
現実に。
でも、無我夢中。
土砂降りのヌタヌタグラベル路面に降りて
とにかくMINIを前後に押す。全く動かない。
気がつくと、スタート地点にいたマーシャル数人が私に加勢。
みんな、泥んこまみれで。
でも、ビクともしないMINI・・・
外れたマフラーがヌタヌタ路面に刺さってる。
「左リアをみんなで持ち上げるぞ!!」って誰かが叫んでいる。
#76クルーじゃないのに、みんな一生懸命になってる・・・
「何でラリーやっているの???」
ここにいるマーシャルのみんなにも聞きたい!!
こんなずぶ濡れになりながら!!!
その答え・・・もしかしたら。
私・・・わかったかもしれません!!
こうして、残念ながら私のラリー コ・ドラ デビュー戦はあと一歩のところで完走を果たすことができませんでしたが、「完走」をはるかに超える何かを得ることができたようです。
チームの皆さん、チームを見守ってくださいました皆さん、そしてマーシャルの皆さん
そして、何よりも
親ビン
感謝です!!!
そして、最後に
チームの皆さん!!!
「何で、ラリーやっているの??」
2019.06.15 m.izawa