#9741 コ・ドライバー Hiroko です。
記憶が妙に美化されないうちに、赤裸々?なラリー期間中のレポートを。
(既に美化が始まっている感も否めませんが)
さて。
今年のスタートは、Douglas のプロムナード。
夫によると、この場所からのスタートはマン島ラリー伝統なんだとか。
海沿いに車が集結し、1分毎に1台ずつスタートしていきます。
すぐの SS1 は名物 Marine Drive 。
帰って来てから知ったのですが、1890頃から1930年代まで運行していた
Tramway がありました。
えぇぇ知らなかった!
それはさておき。
断崖に沿って私の生涯初めてのステージラリーが始まりました。
雨だ…。
晴れればココはこんな感じ。
これは2009年の画像です。
マン島はリエゾン(ステージ間の移動区間)が短いので、矢継ぎ早にSSをこなします。
ヘルメット+HANS( Head and Neck Support ) の着脱が、実は一番の懸案事項でした。
むしろ具体的に事前にイメージできる心配事は、これくらいだったんです。
困ったことにヘルメットの到着が競技車の送り出しに間に合わず、
現地パートナーのところへ直送したので、着脱の一連の流れを確認したのは
向こうへ着いてから。
HANS の導入により、狭い車内での着脱はそれはもう…
サーキットに行ったって着脱は車外ですし、まして HANS も背負ってじゃぁ。
ヘルメットの問題に加えて、時間の余裕がないリエゾンをいかに焦らずスムーズに
ミスなく移動するか。
まさにラリーは段取り命です。
ところで肝心の SS での仕事っぷりは?
割と冷静でした。
聞き取ってもらえないのでは意味がないので、聞き損じだけは避けたくて
ゆっくりめ + ハッキリ発声 を心がけました。
もちろん道を見失ってミスコースもちょこちょこしばしば。
経験豊富なうちのドライバーは、私の今後もあるので完走を目標に
都度フォローしてくれました。
上手くいくも何も、練習しに行ってるので(すごい贅沢)やっと全貌が明らかになった、
そんな感じです。
Leg 毎に、口走っていたことを思い返してみます。
(おそらくon board camera にはバッチリ音声が残っていると思われます…)
Leg 1
・モータースポーツは寿命の縮まるスポーツだ。もう何年縮まったかワカラナイ。
・オフィシャルとかどうかしてるよ〜!夜中だってのに山の上で強風に吹かれて、ニコニコクルーを迎えて…
(オフィシャルに敬意を以て Leg1 最終SS スタート前)
Leg2
・ ステージが全部キャンセルになればいい。(気が張りつめるあまり 午前中)
・ せっかくやる気になってるんだから、やんなさいよ!(2ステージ続けてキャンセルか?の時)
Leg3
・ ………………(放心状態)
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走って初めて自分の役目がハッキリ分かりました。
CO-DRIVER と呼ぶ理由も。
ステージを走って初めてレッキ(試走)で何をすればいいのかどんな情報を漏れなく
拾ったらいいのかよくわかりました。
ミスリードの原因も、映像を見ながら検証中です。
これから、です。
そして何より身に沁みたのは、仲間のありがたさです。
よく、モータースポーツのTV中継を見ていると、契約ドライバーが
「チームのみんなやスポンサー、それから家族や友人に心から感謝するよ!」
なんて清々しいコメントをしています。
すごい納得。
サポートしてくれる人たちがいなければ、自分たちでは何もできません。
オフィシャルやマーシャルもそう。
観戦してくれる人(スペクテイター)が欠けてもダメ。
見ている人の中には若手もたくさんいます。
彼らが先人に憧れて、未来のモータースポーツを担っていくんです。
そうやって、ピラミッド型の図式ができあがるんです。
残念ながらモータースポーツ後進国の日本には、このピラミッドは存在しません。
今や、絶滅危惧種なんじゃないかっていう勢いです。
だからいろんなハードルを圧してでも、私たちは本場に勉強に行くんです。
ハードルをクリアするにも、周りの協力や調整は不可欠です。
今回私たちクルーについて言うと、一番の協力者は末娘と彼女を支えてくれたメンバーのみんな。
彼女が両親不在(居るけど、居ない)を受け入れられなければ、このラリーは成り立ちませんでした。
昨年末から覚悟を決めて、彼女なりに期待と不安を抱きながら渡英して。
心底、人の力を借りてで走りきった3日間でした。
応援頂いた皆々様には、改めてありがとうございました!
#9741 の中で何が起こっていたかに全く触れていないので…
日を改めて、一見問題ナシと見えた #9741 で起きた細かいトラブルをレポートしたいと思います。